(当記事は自ブログ内でのトラックバック・補足記事です。)
以前に
マンションの解体についてのQ&Aの記事がありましたが、マンションの解体や超高層ビルの解体についての追加情報を見つけたので2件補足します。
マンションの解体について参考になる記事を見つけました。
http://jp.fujitsu.com/group/fri/report/research/2005/report-239.html
(コンドー注記)
富士通総研(FRI)のレポートです。区分所有マンションの
建替え、解体が必ずしも円滑には進まないという懸念は、全く思いを同じくするところです。リンク先にはさらに詳細なPDFがあり、つくば方式、定期借地権付マンション(定借マンション)、スーパートラストマンション等の解説もなされています。
(要旨)
全国のマンションストックはすでに500万戸近くに達しているが、今後はこれらの老朽化が急速に進展していく。老朽マンションの処理については、これまでは建て替えを円滑に進める方向で、政策措置がとられてきた。しかし、容積率を割り増した上、保留床に分譲することによって費用を賄う方法で建て替え可能なマンションは限られている。
今後、建て替えができずスラム化する可能性があるマンションは潜在的に多数あると考えられる。このようなマンションについては、区分所有権を解消し、建物を解体して土地を売却する処理方法が現実的となる。解体費用さえ賄えないマンションも続出する可能性があるが、区分所有権解消の枠組み作りに加え、解体費用の公的支援が必要になる。
このような問題が発生するに至ったのは、そもそも共同住宅を区分所有という形態で保有させるという仕組みに原因があったと考えられる。マンションを区分所有権の分譲で持たせる仕組みは、不動産価格上昇が持続する中、一戸建ての取得がかなわない層にも、持ち家保有のメリットを享受させる仕組みとして機能してきた。しかし現在は、将来の値上がり益は見込めない上、建て替えもままならず、マンションの資産価値は失われている。
もはやマンションを区分所有することのメリットは失われており、それどころか現在では、区分所有権がマンション終末期の処理で足かせになるという弊害が現われている。今後は、分譲マンションに代わる、所有より利用を重視した共同住宅の新たな供給システムを普及させる必要がある。定借マンションや、証券化を活用した賃貸マンションの供給などが考えられるが、今後はこうした仕組みを政策支援していくべきである。
超高層マンションの解体シミュレーションがあった!
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/mansion/20070912/511291/
(コンドー注記)
将来的には確実に解体が見込まれる定期借地権付マンションのみならず、仙台・郡山・福島でも見られるようになった超高層マンション、一般のマンションでも大いに参考になる記事です。
(要旨)
・ 鉄筋コンクリート(RC)造のタワーマンションは、工場でつくったプレキャストコンクリート製の柱と梁と壁を現場で組み立てて部材を完全に接合するので、解体するときはワイヤーにダイヤモンドを付けた「ワイヤーソーマシーン」などを使って細かく切断し、その切れ端をクレーンでひとつずつ吊り下ろす。
・ シミュレーションの結果、30階建てのタワーマンションの場合、解体には杭処理を除いて18カ月かかる。同じ建物を新築する場合は26カ月かかる計算なので、解体にはその7割に相当する時間がかかることになる
・ 敷地に余裕のある郊外の5階建て・延べ床面積2000m2、24戸のマンションを解体するケースでは、調査と計画に約1カ月、解体工事に約2カ月、合計で約3カ月かかり、解体工事費は延べ床面積当たりの坪単価で5万円程度、新築工事とセットで行う場合は4万円程度になる。つまり、解体単独であれば工事費は3000万円になる
・ 上記と同規模ながら敷地に余裕が無い場合は、屋上から地上に向かって順番に取り壊す。工期は1カ月以上延び、工費は坪単価で5万〜9万円程度(新築工事とセットの場合は4万〜7万円程度)になる
・ この数字をそのまま超高層マンションに当てはめた場合は、40階建て・延べ床面積5万m2、300戸クラスのタワーマンションでは、おおむね解体に約24〜26カ月、解体工事費は新築とセットにした場合で6億〜11億円程度かかると推測できる。
(コンドー追記)
ここまででも非常に参考になる記事ですが、この記事の続きでは解体のみならず、超高層マンションにおける
建替えについても触れています。
(再び要旨)
・ 場合懸念されるのが工期の延び方であり、新築と合わせると建物の解体から完成まで、工事だけで約59〜64カ月、5〜6年近くかかる計算になる。
・
建替え決議が成立して建て替え組合に移行し、権利変換の処理がスムーズに進んだとしても、全員が退去して建物の解体に取りかかってから同規模の新しい建物が完成するまでに、5年以上の時間がかかり、その間の仮住居の費用だけでも、おそらく相当な額に上る。
・ 超高層マンションの建て替えは、現状の区分所有法や
建替え円滑化法、市街地再開発の手法の延長上ではかなり無理があるように感じられ、解体を前提にするよりも、その諸機能をスムーズに更新してできるだけ延命させる方法を考えるほうが、はるかに現実的ではないか。
・ 超高層マンションはこうした面でも、いままでのマンション建設やマンション管理の常識・経験が全く通用しない、新しいタイプの建物なのかもしれない。