こんにちは、管理人のコンドーです。今回は
管理費等の滞納者に対する最終手段としての、区分所有法第59条の競売申立てについて考えます。
管理費等の滞納が全く無いマンションはなかなか無いのも現実ですが、高額で長期的な滞納は管理組合にとって非常に頭の痛い問題です。
まず
管理費等の滞納には、以下の背景があります。
・未納者が部屋を他人に貸しているならば賃料を差し押えることが可能だが、所得・預金が無いなど差し押さえできない場合もある。
・
管理費の不足は、他の区分所有者に対する
管理費等の値上げにもつながるが、未納者の割合・マンションの規模によっては高額な負担増となる。
これらの背景に対し、最終的な問題の解決には区分所有法59条の競売申立を行う方法(滞納者を競売によりマンションから出て行ってもらう)しか残
された道はないようです。しかし、競売の申立てについては裁判所によって考え方に違いが見られます。
【
判例1】
千葉地裁 平成15.8.20決定
管理組合が催告しても裁判をしても支払わなかった未納者に対して、管理組合は区分所有法59条1項に基づき競売請求をし、民事執行法195条に基づき競売を申立てましたが、千葉地裁は、管理組合の未払
管理費等の債権より優先する債権額(ローンの抵当権)が2700万円あって、余剰が生じる見込みがないから民事執行法63条2項で競売を取り消す決定をしました。
【
判例2】
東京高裁平成16.5.20判決(1の控訴審)
千葉地裁の原決定を取り消し、剰余主義(剰余主義とは、競売しても差し押さえ債権者(管理組合)に配当される余剰がない場合は、配当が来ない債権者の競売申立は無益な競売として認めない)の適用を否定し、剰余の見込のない場合であってもマンションの権利関係の安定化の観点から担保権が売却され消滅すると考えるのが相当であるとして、区分所有法59条にもとづく競売ができると認定しました。
【
判例3】
東京高裁 平成18年11月1日判決
同様の問題に対し、区分所有法59条の競売の要件が満たされていないとして管理組合敗訴の判決が出たケースもあります。この中では、
・
管理費の滞納は区分所有法6条1項の「共同の利益に反する行為」である。
・しかし、
管理費の未納をめぐる問題は本来、「先取特権」によって解決されるべきでものである。
・区分所有法59条の競売は本来、金銭債権の確保を図るための民事執行法の例外であるから、その適用は極めて局限されるべきであり、先取特権の実行や財産一般に対する強制執行によっても満足することができない場合に59条の競売は検討されるべきである。
との判断基準が示され、続いて、
・差し押さえられた物件には3000万円の抵当権が設定されており、管理組合には配当が行かず、無剰余として取り消しとなることも想定される。抵当権の3000万円は、現時点では相当程度減少して(支払われて)いる可能性があるにもかかわらず、管理組合は現時点の抵当権の債権額について何ら主張・立証しない。対象となった住戸の時価も主張・立証していない。
と判断され、管理組合が敗訴しました。
【感想と考察】
判例2の「剰余の見込のない場合であってもマンションの権利関係の安定化の観点から担保権が売却され消滅すると考えるのが相当である」との判断は、今後のマンションの管理を考える上で、非常に勇気付けられるものです。
判例3からは、今後の競売の申立ても条件によっては認められない可能性があることが考えられます。しかし具体的な判断基準が示されているため、先取特権の不可能、(裁判所を通じての調査嘱託を抵当権者にするなどして)抵当権の残債務の把握、近辺の不動産業者の評価値等からの「時価」の把握、などを行えば、道が開かれるのではないかと感じました。