東北のマンション管理組合が情報交換するブログ。

福島県福島市在住のマンション管理士が書いてます。管理費の節約・修繕積立金の不足・理事会・リプレイス。マンションは快適ですが、未解決の問題も山積みです。文章が長くて申し訳ないです。

マンション管理組合の理事会、管理会社の代行可能に!? 

いきなりですが、私は日経新聞を取っています。たいていの日は新聞の一面だけは朝イチに見るのですが、日曜は特にニュースが無いことが多いので新聞を取り忘れていたりします。例に漏れず昨日(日曜)もそんな感じで日が暮れてから新聞を読んだのですが、、、衝撃的を受けました管理人のコンドーです。
(注;20070206 IEで見ると、リンクが変&tableがずれるのに気付いたので修正しました。)

マンション管理組合の理事会、管理会社の代行可能に

(2007/02/04 nikkei net 及び 日経新聞一面)

国土交通省はマンションの所有者でつくる管理組合の理事会に代わり、管理会社が業務の大半を請け負える新制度の検討に入る。所有者の高齢化や1人暮らしの増加によって理事会の役員を引き受ける人がいなくなると、計画的な修繕など適切な業務に支障が出る恐れもあるためだ。新制度を利用する管理会社には資格要件を厳しくして、トラブルの発生を未然に防ぐ。

 マンションの管理は日常的な保守・清掃や修繕計画などを、管理組合の総会の決定に基づいて理事会が実行する。管理会社に業務委託する場合も、あくまで理事会が主導するのが基本だ。 (07:00)


だそうです。管理の丸投げ一括委託というのでしょうか。分譲マンションを実態的な賃貸マンションにするかのように読めます。「面倒な役員から解放される」と歓迎する向きもあるでしょう。

その制度の概要は、
 ・管理会社が業務の大半を請け負える新制度の検討に入る。
 ・管理会社が一定の報酬を得る代わりに適正な業務を提供する。
 ・管理会社への外部機関による監査の義務付けなど、適正化法の改正も視野に入れる。

との事ですが、軽く脱力しました。猫に鰹節の番をさせるようなものだと思うのは私だけでしょうか?管理会社って、詰まるところ管理組合と利益が相反すると思うんですが、、、

国が今後検討する内容は、
 ・所有者と管理会社の適切な契約のあり方。
 ・所有者による管理会社の監視体制。
 ・修繕積立金の運用方法などの仕組みづくりを進める。
 ・新制度を利用する管理会社は資格要件を厳しくしトラブルの発生を未然に防ぐ。

とのこと。これを管理会社の業界団体や専門家を交えた研究会で検討するんだそうです。当サイトは行政や政治について熱く語るサイトではないのでそこは割愛しますが、本当に多方面(主に住人保護)からの視点で充分に議論していただきたいと思います。どうしても、違法コピーなどの著作権侵害を防止する制度を新興国自身に作らせるようなものだと思えてならないのです。

また、国のスタンスとして、
 ・住生活基本法で新築の供給より住宅を長期活用する「ストック重視」に政策を転換。
 ・築30年以上は56万戸、10年後には3倍の162万戸までに増える見通し。
 ・機能不全に陥る管理組合が急増する可能性が大きいと見ている。
というのもあるようです。


今回のニュースに至った背景として、
 ・所有者の高齢化や単身世帯の増加で、理事会の役員を引き受ける人がいない。
 ・活動が停滞しがちで、計画的な修繕などの業務に支障をきたす恐れがある。
 ・管理組合の活動が停滞すると、管理費や修繕積立金の滞納を招きやすい。
といったように、今回の制度改正の検討に至った背景には、マンション側の致し方ない事情もあるようです。

現在の制度でも管理会社が直接手がけることは可能で、実際にはリゾートマンションや投資用マンションで管理の丸投げ一括委託が見られますが、合意無しに管理会社ができる業務の範囲が不明確という問題も生じているので、この際きっちり制度化しようという事なのでしょう。

ここでちょっと危ないなと思った点ですが、記事の中で『都内の築30年以上のマンションの17.4%で管理組合が機能していなかった。(東京都2003年調査)』とあります。そういうのが今回の検討の発端になっていると読めます。しかし、2003年に築30年以上のマンションという事は新築が1973年以前ということです。その頃というのは、1982年に最初の標準管理規約が制定される前のマンションで、もしかすると1962年に制定された最初の区分所有法以前のマンションも多少はありそうです。

1962年の最初の区分所有法(その後1983年に大改定されてます。)以前のマンションというのはいわばマンションの黎明期で、『区分所有』という概念すら曖昧な頃です。専有部分/共用部分の境も謎で、誰が管理するかも謎で民法に拠っていた頃です。

1982年の標準管理規約が通達される以前のマンションもそうですが、マンションという住環境が社会的にサポートされていない頃に、管理組合が機能しないのは当然です。そして、その頃分譲されたマンションにおいては今でも管理組合が機能していない、また存在もしていないというのは充分予想できます。

しかし今回の制度改正によって、近年のマンションも黎明期のマンションも一括りにされて、管理組合の責務の丸投げが可能になるのでしょう。管理会社が実態的な大家さんで、区分所有者が店子みたいな関係。冒頭を繰り返しますが、分譲マンションを実態的な賃貸マンションにするかのように読めます。

ここまで区分所有法の改正を重ねた事や、阪神大震災ような経験を経て建替え円滑化法を定めた事、適正化法で管理業とマンション管理士制度を定めた事。やっとマンションの社会環境が成熟できる環境が整った、と思える時代だったので驚きが隠せません。

ある日突然督促状が届いて、「大規模改修で一戸当たり1,000万円必要です」なんて将来になったら、マンション問題は国が憂える今よりも、もっと目の当てられない状況になります。『自己責任』という言葉が流行する時代に逆行するような、所有者の意識のさらなる低下につながる制度にならないことを祈るばかりです。
[ 2007/02/05 08:58 ] 管理方式について | TB(1) | CM(3)